BBCウェブサイトのWORKLIFEのコーナーで面白い記事を見つけた。
スウェーデンのジョブセキュリティカウンシル制度の紹介のメモ。
BBCの記事の内容
スウェーデンでは失業した人が職業カウンセリングを受けて、自分の技術の見直し、必要な技術の不足部分の洗い出し、や面接の練習をしたりできる。
職業別組合と雇用主が半分ずつ費用を負担するジョブセキュリティカウンシルという民間の組織が、失業した人、失業しそうな人をサポートする。
BBCの記事では、一例としてレイオフされた大卒のグラフィックデザイナーが、ジョブコーチによって技術が時代に追い付いてないことを指摘され、制度によって技術を身に着けるための8週間の学習コースの費用を負担してもらい、さらに面接練習なども行って職についた、というケースが紹介されている。
この制度があるおかげで、スウェーデンでは失業者の90%が一年以内に再就職している。
また、スウェーデンでは若い世代の失業者は再就職したことにより給料が上がることが多い。他のヨーロッパ諸国では1年以内の再就職率がそこまで高くない。
フランスやポルトガルでは一年以内の再就職は30%。
労働者の所属する組合と雇用主が合意していれば制度を使うことができる。90%の労働者が組合に加入しているスウェーデンでは多くの労働者がこの制度を使う。
元記事は以下のリンクから読める。
利点も欠点もありそうだけど
社会的な利点としては、制度によって大規模なレイオフがあっても社会に対するインパクト和らげることができる。
政府による失業対策は長期失業、未訓練労働者を対象にすることが多い。
この民間制度に対する批判としては、短期の失業者に対する支援が主となるため、雇用されている労働者のスキルアップの支援が対象となっていないことと、長期の失業者を就業させることが難しいこと、がある。そのような欠点はあるが、欧州ではこの失業者支援制度が注目を集めている。
欧州の他国は類似制度を検討中とか
ドイツではこれに近いシステムがあるが大きい企業のみが対象となる。多くの国の制度は失業を回避することに重点を置くため失業者への政府のサポートは国によるスキームしかない。これはフランス以外にもベルギー、オランダにも当てはまること。
感想
制度が民間の資金が主体となって、レイオフされる前から支援が開始され、技術を身に着ける学習や面接の練習までできるのは良いと思う。
日本では、かなり以前に、オランダの再就職制度が優れているものとして注目されていたが、最近はあまり聞かない。
自分の場合は、転職する際にアウトプレースメントの会社のセミナーや面接練習をした。最初のころは自分の欠点や能力不足がよくわかっていないので、ジョブカウンセラーに指摘してもらってかなり楽になった記憶がある。そこに職業技術の訓練のカウンセリングなんかもついていたらさらに良いに違いない。
失業と再就職はストレスがたまる経験ではあるが、労働者が持っている技術をアップデートできる受け皿があることで長期的には社会的に良いことが多い、と思う。
ただ、日本がこういった仕組みを作ると単なる天下り先になってしまって元官僚が滞留するか、専門学校が儲かるだけ、という可能性が高いからなあ。
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