高齢化によって自治会を解散するというニュース

地域住民の高齢化によって自治会を解散するという福井新聞の記事が2019年1月12日のYahooニュースにリストされていた。

高齢による自治会の解散

解散の理由が高齢化というのが今どきの日本。しかし、記事を読むと2つの地区では自治会の連合組織である自治会連合会から割り振られる役職を務めることが高齢で無理になったのが本当の理由。

自治会連合会の役職負担

記事では解散理由は以下のように書かれている。

ともに少数の高齢世帯で構成しており、地区の自治会連合会などから割り振られる役職を務める負担が大きくなったためとみられる。

2地区はいずれも6世帯十数人で構成されるという。この世帯数ならお互いのやりとりがあればよさそうだ。規模的には自治会というよりも「班」と言ってもいい。自治会連合会から割り振られる役職が負担なら連合会から抜けたらどうなのだろう。
抜けるのがまずいなら連合会側が役職割り振りをなくせばいいと思うのだが、そうもいかないのか。

記事でデメリットとして挙げているのが以下の点。

自治会の解散により、防犯灯の設置・電気料の補助金、ごみステーション美化協力金などの各種補助が受けられなくなる。

福井市では自治会を経由して上記の補助金を支給しているらしい。
税金は自治会に関係なく徴収しているのに自治会がないと税金で運用する防犯灯の費用が支払えないなんて。
福井市の仕組みが現状に合わなくなっているということか。

自治会の合併という福井市の提案

記事によれば自治会を解散した後の体制は次のようになったらしい。

「自治会は災害など万一の際に互助組織として機能する。できるならば維持することが望ましい」とする市は、東俣町に隣接自治会との合併を勧めたが、「(他の集落に)迷惑をかけたくない」などと了解を得られなかった。ただ、災害に備え最低限の連絡体制を残しておくため、市との情報伝達役になる行政嘱託員は住民に引き受けてもらった。

「災害時に備えて必要」の最低限の機能としては行政嘱託員がいれば自治会がなくてもいいということだ。6世帯しかないなら災害時の対応はシンプルでいい。自治会という組織形態にこだわる必要はなさそうに思える。

自治体側の事情

福井市の自治会連合会のページが福井市役所のウェブサイト上にある。

福井市は、市の機能の一部は市内全域に自治会があることを前提にしているのだと思う。自治会がない地区があると困るので、合併によって当該地区を自治会に組み込んでおく必要がある。しかし、合併という解決は連合会の役職を負担できないという老人に配慮していることになるのだろうか。

自治会側の事情

合併後の自治会でも老人たちが連合会から割り振られる役職を負担できないのは変わらない。だから合併相手に負担してもらうことになり迷惑がかかる。合併相手の側はフリーライダーを背負い込むことになる。合併でお互いに嫌な思いをするよりは解散したほうがいい、ということなんだろうと思う。

連合会というコスト

記事の記述が正しいとすると高齢者には自治会連合会の存在が負担になっている。自治会が地域での活動のみであればなんとかなるのかもしれない。自治会の集まりである連合会が割り振る役職のコストが自治会をつぶすという本末転倒の事態になっている。

「市ー自治会連合会ー自治会ー個別の世帯」という組織運営をまかなうための人員が末端自治会では足りなくなってきた、という課題に対応する解決策を考えておかないと、他の自治会も「役職が無理だから解散する」ことになる。

ありそうな未来

自治会が市の運営に必須であるとすると自治会維持のためには連合会に働きかけて高齢者の負担を下げればいい。あるいは、単独の「高齢自治会」が防犯や災害といった必要最小限の連絡機能を維持できるように支援する、というような人口減少高齢化社会に対応した体制に移行する必要があるだろう。

上記の福井市自治会連合会のページにあったPDFによると、福井県で開催予定の国体の応援のぼり(47都道府県ごとに必要)を自治会に割り振って作らせるという資料があった。

強制的に割り振られているが、国体の応援なんて住民自治と何の関係もない「ボランティア」だ。こういう「仕事」が高齢自治会の負担になっていると思うのだが。。。

NHKの旧クローズアップ現代ページでも

これは全国に共通する問題だろうとインターネットを検索して調べてみた。するとNHKが2015年に町内会の参加者減少や強制参加の問題を取り上げていた。

番組では町内会の脱会にともないゴミ捨てなどの共用施設を使わせないなどの対応を行った町内会(町内会長?)の話もあるが、自治体が下請け組織としての自治会に多くの仕事を委託したため受ける側の作業が増え過ぎているという課題や、作業を減らした余力で本当に必要なことをやった町内会、地域コミュニティのNPOを作ってそこに参加する形にした地区などの選択肢が紹介されていたらしい。

今住んでいるURの団地では

自治会は任意加入である。
団地内の住人が高齢化しているので役員の方々には高齢の方が多そうだ。いずれ、自治会に入っていない住民も含めた団地住民に必要な機能をどうやって回していくかが課題として出てくるときがくるだろうと思う。

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